ファンタジーTop >  小説 >  飛ぶ教室 (偕成社文庫)

飛ぶ教室 (偕成社文庫)

飛ぶ教室 (偕成社文庫)
価格:¥ 735
エーリヒ ケストナー(著),Erich K¨asthner(原著),若松 宣子(翻訳)
おすすめ度
児童文学の品格
国家から女性まで品格流行りの昨今、これほど品格の備わった児童文学があるでしょうか。 若松宣子氏によるひっそりとしたたたずまいの訳、著者ケストナー自身から直接発せられるメッセージの質、そしてこの登場人物たちの生きる姿勢ときたら! 必ずしも無傷で輝いている訳ではないのに、誇りと、互いへの信頼に満ちた、ひとびとの幸せそうなさま! 毎日に疲れ、自己嫌悪に汚れてしまった我と我が身が、少し、ほんの少し、清められ、更生できたような気持ちにすらなる。 もう一度、いや二度三度、繰り返し味わいたい良書です。長く生き残るものには、わけがあるということを、見せつけられたのでした。
子供向けのように書かれたが大人が感じるところの多い本
 クリスマス直前のドイツの寄宿学校を舞台に描かれる個性的な少年と先生の心温まる物語。ケストナーの代表作といわれる作品である。  ケストナーは楽しませるポイントを心得ている。痛快な場面などのわくわくする楽しさだけでなく、大人だってじんとくる場面が幾つもあるし、格言のような言葉も入っている。子どもにもわかって欲しいけれど、大人がまずわからなければいけない、そんなものが詰っているお話である。子供向けのように書かれた本だけれど、大人の方が感じるところが多い本かもしれない、そういうところはなんとなく「星の王子さま」にも通ずる感覚である。  子供同士の友情や気遣い、寄宿舎の先生の暖かく見守る姿勢、おさえたユーモア。こんな友人や先生に囲まれていたら確かによいだろうと思う。でも、学校どうしのけんか、それを止めない大人の友人。よってたかって教室に篭で吊るされる少年。。。。現代にこのままを望むことは難しいだろう。弱い少年を篭に入れて吊るしても、この話の少年たちにはこれが「いじめ」にならなかったのはなぜか、をいっしょに考えることが何かになるかもしれないが。お話ではこのとき、先生は軽くいなして「どんな迷惑行為も、それをやった者にだけ責任があるのではなく、それを止めなかった者にも責任がある」と書き取りをさせるのである。。。

 「子どもとおとなのための偕成社文庫」というシリーズなので、あまり子供向けの言葉などにしていないのも読みやすい理由だと思う。テンポもよく、気持ちよく読める優れた翻訳である。これより少し遅れてでた光文社古典新訳文庫の訳もよいが、個人的にはこちらの方が、単語が自然で好みである。

関連エントリー

ファンタジーTop >  小説 >  飛ぶ教室 (偕成社文庫)

お気に入りに

  • My Yahoo!に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録 Yahoo!ブックマークに登録
  • Add to Google
    • seo